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●デモ版による演習

 それではSerenade 7 PC(デモ版)を使って,回路図入力とシミュレーションを体験してみましょう.ただし,今回のデモ版には機能上の制限があるため,作成した回路図をセーブしたり,回路図からネットリストを生成することができません.そのため,最初に回路図の作成を行いますが,その後のシミュレーションのところでは作成していただいた回路図は使いません.デモ用にあらかじめ用意されている回路図を使って,動作を確認します.

 それでは,以下の手順に従って,ツールを操作して下さい.なお,実際の設計では高周波アナログ回路シミュレーションを行う前に,トランジスタ・モデルの抽出を行います.この手順についてはp.000の「高周波トランジスタ・モデルの抽出」を参照して下さい.  

(1)ツールの起動

 Serenade 7 PCをパソコンにインストールして下さい.Serenade Desktopウィンドウが起動します.

(2)回路図入力画面のオープン

 サンプル回路を読み込むためのChoose Exampleウィンドウが自動的に開きます.「Balanced Mixer Analysis(MIX)」を選択し,[OK]ボタンを押して下さい(図6). 自動的に図5のミキサ回路(完成した回路図)が表示されます.これをお手本にして,自分の力で回路図を作成して下さい.シンボルの配置場所や入力するパラメータなどがわからなくなった場合には,この完成版の回路図を参照するとよいでしょう.部品のシンボルをダブル・クリックすると,パラメータ入力画面が表示されます.なお,ここで同時に英語版のチュートリアルのウィンドウ(ヘルプ画面)が開きますが,じゃまなので閉じておいて下さい.

 それでは,まず,ウィンドウのスクロール・バーの矢印ボタンを押すなどして,回路図入力画面を空白にします(図7).このスペースに順番に回路図シンボルを配置していきます.なお,回路図入力の作業が面倒な方は,(3)〜(8)の作業を飛ばして下さい.

 

(3)バイポーラ・トランジスタの配置

 まず,三つのバイポーラ・トランジスタ(Q1〜Q3)を回路図入力画面に配置しましょう.メニュー・バーの「Parts」→「Active(Nonlinear)」→「Bipolar」を選択し,カーソルを回路図入力画面の上に移動させます.回路図入力画面上に赤色のバイポーラ・トランジスタのシンボルが現れるはずです.適当な箇所でマウスを左クリックすると,シンボルが配置され,パラメータを入力するためのNPN Bipolarウィンドウが自動的に開きます(図8).

 ここでnameとmodの項目を以下のように設定します.

・トランジスタQ1の設定

Name      Value
name Q1
af  空白のまま
area 空白のまま
bf 空白のまま
.... 空白のまま
cbc 空白のまま
.... 空白のまま
mod Q2N
.... 空白のまま
vje                      空白のまま
.... 空白のまま

 nameは部品名を,modは使用するトランジスタ・モデルを表しています.Valueが「*req*」になっている欄は,必ず値(または名前)を入力する必要があります.なお,ここでmodの欄に入力したQ2NはSerenade 7 PC(デモ版)があらかじめ用意しているバイポーラ・トランジスタのモデルの名前です.入力が終わったら,[OK]ボタンを押して,パラメータ入力のウィンドウを閉じて下さい.

 ちなみに上記の入力画面のafはフリッカ雑音係数,areaは面積倍率,bfは順方向電流増幅率,cbcはベースとコレクタの間の外部キャパシタンス,vjeはベースとエミッタの間のビルトイン電位を示しています(製品版ではメニュー・バーの「Parts」→「Library」を選択することによって,Sパラメータを考慮した市販トランジスタのライブラリ・モデルを利用することができます).

 バイポーラ・トランジスタQ2,Q3についても,同じように配置して下さい.部品のシンボルの向きを変更したい場合には,シンボルの上にカーソルを置いて左クリックし(シンボルが赤色に変わる),次に右クリックして下さい.Rotateを選ぶとシンボルが90度回転します.Flip Xを選ぶとシンボルが上下反転し,FlipYを選ぶと左右反転します.

 また,部品間を結線する場合には,右クリックして「Draw Wire」を選び,マウスで配線の起点と終点を指定して下さい.画面を拡大・縮小したいときは,メニュー・バーの「View」→「Zoom In」,「View」→「Zoom Out」を選択します.